どうすればアーリーアダプターになれるのか

米国の1960年代の社会学者Everett M. Rogersは著書『Diffusion of Innovations』で、イノベーション(まだ普及していない新しいモノやコト)がどのように社会や組織に伝播・普及するのかの実証的研究を行い、採用時期によって採用者を下記の5つのカテゴリに分類した。

①最初に採用を行う、冒険的な「イノベーター」
②自ら情報を集め、積極的に判断を行う「アーリーアダプター
③比較的慎重で、追随的な採用行動を行う「アーリーマジョリティ」
④うたぐり深く、世の中の普及状況を見て模倣的に採用する「レイトマジョリティ」
⑤最も保守的・伝統的で、最後に採用を行う「ラガード」



従来から、こういった特性は人の内面的性質に起因すると考えられがちである。

例えば、新しい電気製品を常に追い求めるアーリーアダプターは、もともと新しいモノに対して行動的なタイプであり、ずっと昔からあるものばかり使ってなかなか新製品には飛びつかないレイトマジョリティは、保守的だからそう行動している、といったように。

もちろんそういった内面的要因も一定程度あることは間違いないとは思うが、私は意外と「まわりの環境」が重要なのではないかと思う。



例えば、iPhoneをすごく初期から使っていた人の周りには、やはりもともとiPhoneユーザーが多かったし、今使い始めている人の周りには、最近使い始めている人が多い。

すなわち、伝搬はコミュニティー内で最も速く起こる。

これは同じコミュニティーに属する人からの口コミが最も効果的な宣伝であるということだ。

誰でも感覚的にわかると思うが、身内のお薦めは何故かすごく響くし、よそ者だと全然反応しない。

伝搬の仕方には、そういったコミュニティ―内の伝搬が最も一般的であり、次にメディアなどを通じたコミュニティー間の伝搬がある。

コミュニティー内の伝搬が波のように隣接したところに伝わって行くのに対し、(一定の法則性はあるのかもしれないが基本的には)コミュニティーを超えた伝搬は突発的かつランダムに起こる。



この仮定が成り立つとすれば、「自分をどういった環境に置くか」が非常に重要になる。

コミュニティーを超えた伝搬はなかなか自分では制御できないが、自分が所属するコミュニティーを選ぶことは出来る。

すなわち、例えばウェブサービスに感受性の高い人が集まるところに行けば、おのずとウェブサービスに関してはイノベーター・アーリーアダプターになれるし、途上国ビジネスに興味があれば、途上国ビジネスを行っている人の集まるコミュニティに所属できるよう努力すればいい。

伝搬の仕方は、ある意味自然原理であり、それ自体を制御することは難しいが、伝搬の自然原理のもとで最も伝搬を受けやすい立場に身を置くことは可能ではないか?という仮説である。



自分の興味は、最初は、内からというよりは外から来る。

それを受け取る内なる自分は、その後だ。

なんとなくそう感じている。